今日の讀賣新聞の「地球を読む」という日曜連載欄に、改正教育基本法に関連して、今後の教育の有り方について、劇作家の山崎正和さんが意見を述べておられ、目に留まりました。「伝統と文化を尊重し、それをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」心の姿勢を教育の目標に置く改正教育基本法に対して、妥当とした上で、「伝統」「文化」「国」に対するとらえ方価値観は、過去の歴史を振り返っても極めて多様であり、教育現場での実践の可能性に対しては極めて悲観的に見ておられます。結局のところ、愛すべきは、比較的犯罪が少なく納税意識が高く衛生的で交通の秩序が守られている現在の日本であり、それを支えている「約束は守ろう」ひいては「みんなで決めた法律は守ろう」ということを教えていくことが大事であり、日本人の価値観を根幹で支える国語を大事にすることが重要と山崎さんは言われます。意見の論理は明快で、最後の結論も極めてシンプルで当たり前とも言えます。山崎さんがあえて今こういう発言をされた訳は、この改正基本法を拠り所に一部の為政者に都合のよい「伝統」「文化」「国」のつまみ食いと押し付けをしていく事に強い危惧を示し、そのようなことが無いように警告を発する事にあるように思います。1934年生まれとのことですので、多感な10代に戦中戦後を過ごされていて、おそらく色々なご経験をされたことと思います。今でも各方面で活躍されている御様子です。これからも色々な場面で意見を発信していただきたいし、今の日本で大事にしなければいけない人であり見識だと思います。お手元に讀賣新聞がある方はぜひご覧下さい。